こんばんは。代表の増子です。
昨年の秋に真岡鐵道が2台所有しているSLを1台手放すということが明らかになりました。
真岡鐵道の代名詞とも言えるSL。
真岡市はSLの街として全国的に知られ、SLをモチーフとした駅舎はクイズ番組の題材として取り上げられるほど、SLと真岡鐵道は切っても切り離せない関係のはずです。
そんな真岡鐵道が2台所有しているとはいえ、1台を譲渡するというのはよほどの事情があるのでしょう。
SLを維持していくだけでも莫大な費用がかかるようですが、その費用を負担する沿線の自治体の事情もありそうです。
今回は、SLを手放す真岡鐵道と沿線の事情について、私なりの意見を記事にしてみようと思います。
真岡鐵道は昭和62年に第三セクターとして設立されました。
かつては、国鉄やJR東日本が運営していた路線です。
筆頭株主は栃木県で、沿線の自治体や地域の銀行などがそれぞれ株主となっています。
本社は真岡市にあり、茨城県筑西市にある「下館」駅と栃木県芳賀郡茂木町にある「茂木」駅とを結ぶ全長41.7㎞の路線で、17の駅が在ります。
ワンマン運転の普通列車のみで、1時間に1本程度運行されています。
「SLもおか」の運行は、1994年の3月から土日祝日を中心に運行が開始されました。
最大の理由は維持にコストがかかること。
6年に一度行なわれる全般検査には約一億四千万円かかり、今後も更に膨らむ可能性があるそうです。
また、近年は乗客も減少傾向にあり、収入は赤字になっているとのこと。
赤字は沿線の6市町村が穴埋めしている状態のため、税金での補填が限界に来ていることが伺えます。
また、全国的なSLのブームの中、JRへの貸し出しなどで収入を得ていたが、ブームが落ち着いたり、東武鉄道のように独自のSLを導入する路線が増えるなか、本年度は貸し出しの実績もなくなっています。
このように、複数の条件が重なって、SLを1台手放すことになったようです。
真岡鐵道は本来の役割でもある沿線地域の輸送に関しても厳しい状況におかれています。
沿線には7つの高校があり、乗客のほとんどが通学に利用する学生です。
昨今の少子化の影響で、学生の数が減っており、その事が、真岡鐵道の乗客数の落ち込みにも繋がっています。
真岡鐵道の本社がある真岡市には、郊外に大型の工業団地があります。
高速道路のインターチェンジも近く、栃木県の県庁所在地である宇都宮市までのアクセスも良好です。
しかし、工業団地に通勤する方のほとんどは車を利用するため、真岡鐵道を利用する方はほとんどいません。
出張などで工業団地を訪れる方も、JRの駅からタクシーやバスを利用する方が多いです。
真岡市は周辺の市町村と比べても区画整理に積極的で、整然とした街作りが行なわれています。
現在も区画整理は行なわれていますが、工業団地の近くが多く、駅周辺の再開発等は行なわれていません。
コミュニティバスを利用して交通インフラの整備を行なう計画はあるようですが、どうやら、街作りの計画の中には真岡鐵道は大きな役割を与えられることはなさそうです。
真岡市は今後10万人都市を目指すようですが、人口減少社会のため、近隣の市町村と合併をしなければ人口が増えることはありません。
合併するとしたら、真岡鐵道沿線の自治体が中心になるでしょう。
沿線を活気づけるためにも、SLに頼るだけではなく、新たな魅力を作り出す必要があります。
地域運送だけでは、今後も真岡鐵道の経営は厳しさを増すと思われます。
真岡鐵道沿線の観光といえば益子の陶器市が有名ですが、他に思いつくかといえば、申し訳ないけど、私には思いつきません。
しかし、いろいろ調べてみると、沿線には魅力のある観光スポットがありそうです。
特に、真岡市はいちごの生産量日本一という魅力的な看板があります。
いちごの観光スポットを整備すれば、「餃子の街 宇都宮」のように、「いちごの街 真岡」として、全国的にアピールすることは可能なのではないでしょうか。
真岡鐵道は宇都宮のような大きな都市と結ばれていないため、通勤路線としては利用しづらいため、観光路線としてアピールすることが、路線に維持に繋がると思います。
いかがでしたでしょうか。
SLが1台譲渡されることはとても寂しい事です。
私も、祖父が国鉄時代に蒸気機関車の運転手をしていたこともあり、SLには少し思い入れが強いです。
仕事の都合で週末真岡市に行くことがよくあったのですが、そのたびに走っているSLを眺めては、感慨深い思いを抱いていました。
今回、SLが譲渡されることにより、真岡鐵道の課題も浮き彫りになりました。
今後、地域の輸送路線として真岡鐵道を維持するためにも、地域の皆さんが協力して新しい魅力を作り出すことが求められますが、去りゆくSLが教えてくれたと考え、プラスに捉えることも必要ではないかと、個人的には思っています。
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