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空き家を放置すると罰則や税増額がある?固定資産税の仕組みも解説

相続

増子  博昭

筆者 増子  博昭

不動産キャリア20年

誠実と柔軟性がモットーです。
宅地建物取引士・CFP(国際ファイナンシャルプランナー)・2級ファイナンシャルプランナー技能士・高等学校教諭一種免許(国語)を保有しております。

誰も住んでいない空き家を長期間そのまま放置していると、思わぬ税負担が急増することをご存じでしょうか。特に「固定資産税」が一気に跳ね上がる事例や、行政からの指導や罰則といったリスクが現実となっています。本記事では、空き家を放置し続けることによる税金や罰則の仕組みをわかりやすく解説しながら、無駄な出費を回避するための具体的な対策まで丁寧にご案内します。今すぐにできる空き家の管理法も紹介いたしますので、ぜひ最後までお読みください。

空き家を放置することで税負担が急増する仕組み

空き家を所有し続けると、土地に対する固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が適用されます。たとえば、200平方メートル以下の住宅用地であれば、固定資産税評価額に対し1/6、都市計画税は1/3が課税標準となりますので、税負担は大幅に軽減されます。これにより、税額は通常より大幅に低く抑えられます。

区分固定資産税(課税標準)都市計画税(課税標準)
小規模住宅用地(200㎡以下)評価額×1/6評価額×1/3
一般住宅用地(200㎡超)評価額×1/3評価額×2/3
特定空き家等指定時(特例適用なし)評価額×1(本則)評価額×1(本則)

ところが、「安全性が著しく損なわれている」「衛生上有害」「景観を著しく損ねている」「生活環境保全の観点から放置が不適切」といった基準に該当し、自治体から“特定空き家”等として指定されると、これらの特例が適用されなくなります。その結果、固定資産税が最大で6倍、都市計画税も3倍に跳ね上がる可能性があります。

どのような具体的状態が問題視されるかといえば、例えば建物が倒壊の恐れがあるほど損傷している、ゴミの放置や悪臭により近隣に影響を与えている、外観が著しく荒れて景観を損ねているといった状況です。こうした状態が放置されたままですと、自治体による指定対象となりやすくなります。

:指定されてからのプロセスと罰則・リスクの流れ

空き家が「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定されると、自治体は段階を追って対応します。まず、現地調査や立入調査により状態が確認され、通知を経て「助言・指導」が行われます。これでも改善されない場合、「勧告」へ進み、住宅用地としての税軽減措置(固定資産税の住宅用地特例)が外され、税負担が最大6倍に増加します。さらに放置を続けると「命令」が出され、違反すれば50万円以下の過料(罰金)が科されます。最終的には行政代執行による強制解体や撤去がおこなわれ、その費用が所有者に請求されます。さらに支払不能の場合は財産差し押さえなどの強制執行につながることもあります。

以下に、この流れを整理した表を示します。

段階内容所有者への影響
助言・指導現地調査のうえ改善を促す初期対応改善すれば事態解決
勧告固定資産税の軽減措置が解除され増税(最大6倍)税負担が急増
命令改善命令発出。無視すると過料(最大50万円)金銭的制裁のリスク
行政代執行行政が解体等を実施し、その費用を請求高額負担+財産差し押さえの可能性あり

このように、自治体によるプロセスは、「調査 → 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行」という形で進みます。勧告によって税の優遇が解除され、翌年度から増税されるケースもあります。命令段階で改善しなければ罰則が科され、最終的に解体まで行政が進めることになるため、所有者としては初期段階での対応が極めて重要です。

法改正によって注目される「管理不全空き家」への対応強化



2023年12月13日に施行された改正「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、「管理不全空き家」が新たに制度として加わりました。これは、屋根や窓の破損、雑草の繁茂など、放置すると「特定空き家」に至る恐れがある状態を指し、市町村が所有者に対して管理の是正を指導できる制度です。改善が見られない場合には「勧告」が可能となり、これにより住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)が解除され、税負担が急増する恐れがある仕組みです。

制度名称対象空き家の状態影響
管理不全空き家放置すると特定空き家化する恐れがある状態(破損・劣化・景観損なう)勧告で住宅用地特例が解除、翌年度以降の税負担増
特定空き家倒壊の恐れや衛生・景観に重大な悪影響がある状態段階的措置(助言・指導→勧告→命令→行政代執行)、軽減措置解除
その他制度空家等管理活用支援法人/空家等活用促進区域所有者相談対応や利活用促進、規制緩和など支援体制強化

この改正の背景には、空き家が増加しており従来の「特定空き家」対策だけでは対応が追いつかない現実がありました。そこで、事前段階での対処を可能にし、早期改善を促すねらいがあります。

制度導入後の2023年度(3月31日時点)には、全国92市区町村で「管理不全空き家」について1,019件の指導が実施されましたが、「勧告」はまだ一件もありませんでした。勧告には一定の基準策定や他部署との調整、予算・人員体制の整備が必要であり、多くの自治体で導入段階にあることがわかります。

所有者としては、管理不全空き家と認定されないよう、早期の対応が欠かせません。定期的な換気・掃除・破損箇所の補修など、日常的な管理こそが税負担の急増を防ぐ鍵となります。

:放置を続ける前にできる、早めの対応と税負担回避策



空き家を放置し続けると、固定資産税の軽減措置が解除され、税負担が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。その前に対策を講じることが極めて重要です。まずは、自治体からの「助言・指導」「勧告」がされる前に、定期的な換気・掃除や劣化箇所の補修を行うことで、所有者としての責任を果たし、管理不全空き家や特定空き家に指定される可能性を低減できます。屋根や外壁のひび割れ、雨漏り、ガラスの破損などの確認・補修を行うことが効果的ですし、郵便物が溜まる状態を避けるために転送サービスの活用もおすすめです。

対応策具体例ポイント
定期点検・換気春・秋の訪問点検、換気の励行湿気・カビ防止になる
簡易補修屋根ひび割れの補修、雨漏り修繕など費用を抑えて早めに対応
郵便物管理郵便物転送サービス利用放置感の軽減と防犯につながる

また、自治体の支援制度や補助を活用することも重要です。多くの自治体では、老朽空き家の解体や改修に対し、費用の一部を補助する制度を設けています。たとえば、解体費用の上限は自治体により異なりますが、20万円~100万円程度、助成率は費用の2分の1程度という事例が多数あります。東京都では家財整理や解体費用に対し補助があり、上限10万円・助成率1/2という制度もあります。

補助金を地域で調べて申請すれば、解体や改修の費用負担を大幅に軽減できます。税負担を増やさないためには、早期の改善措置と自治体の支援の両方を活用することが鍵です。空き家所有者として、まずは地元自治体に相談し、すぐに行動することを強くおすすめいたします。

まとめ



空き家を放置していると、税負担が急増する可能性があることをご理解いただけたでしょうか。住宅用地には元々、大幅な税の優遇措置がありますが、空き家の管理が不十分になり「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、その優遇がなくなり税額が跳ね上がります。さらに、行政からの指導や勧告を無視すると罰金や強制解体のリスクまで発生します。法改正による運用強化も始まっており、所有者が放置していると負担はますます重くなります。大切な資産を守るためにも、早めに管理や利活用の対策を検討し、市区町村の制度なども活用して行動を始めることが今、求められています。


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